9月17日に開催されたJATA国際観光会議2009のパネルディスカッションの場で、JTBワールドバケーションズ(JTBWV)代表取締役社長の北島文幸氏は、「ルックJTBは、無意味な安売りから撤退する」と宣言しました。
各旅行会社の間で行われている価格競争について議論していた際の発言で、「本来、安売りは最後の手段だが、最初の手段になってしまっている」と言及。さらに北島氏は、「質の悪い安売り」は2種類あると定義。
ひとつは適正価格を無視した安売り。もうひとつは、ランドオペレーター、サプライヤー、添乗員、社員など、他社他人を犠牲にする安売り。
この背景として、旅行者、旅行会社、サプライヤーからのニーズがあると指摘。
旅行者は安くて良い商品を望み、旅行会社は、他社対抗、企画力が低下し、他の旅行会社の真似をして値段だけの競争に走る、本来は取扱人員、取扱額、利益の3つのバランスを取らなければいけないところが、取扱人員重視に偏っている、など。
今後も質の悪い安売りを続けて行くと、海外旅行という商品の品質が低下し、顧客の信頼を失い、海外旅行離れを招き、市場を破壊し、観光業界全体も疲弊して優秀な人材が流出し、航空会社の撤退を招くとし、これ以上の安売りは得策ではなく、別の勝ち方をめざして戦略を構築したいと明言。
会場からは、大きな拍手が送られたそうです。業界最大手の会社の代表取締役社長として、公的な場でこのような発言をされた北島氏の勇気と氏の決断に敬意を表すると共に、今後の海外旅行の在り方を再考する勇気を与えてくださったことに、心より感謝いたします。