先週の火曜日(2011年10月25日)の午後、一川保夫防衛相は、在沖縄海兵隊のグアム移転について、パネッタ米国防長官と会談しました。
会談の前の午前の記者会見では、
「日米安全保障協議委員会(2 Plus 2)で合意した内容は、日本も履行する責任があるが、米側も履行していく責任を有している。グアム移転の予算執行の問題について確認しつつ、進捗(しんちょく)を要請したい」
と、推進を求める考えを示し、沖縄の基地負担軽減についても、同長官に協力を要請する意向を示しました。
会談では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設の「進展」を、パネッタ米国防長官から強く求められました。
これに対し、一川防衛相は、沖縄県名護市辺野古に代替施設を建設する環境影響評価(アセスメント)の評価書を、2011年内に沖縄県に提出することを確約しました。
県内移設に反対している沖縄側の理解を得られないまま、パネッタ米国防長官にこのような確約をしてしまった一川防衛相。
普天間移設とセットになっている、在沖縄海兵隊グアム移転の経費削減に関して、圧力を強めているアメリカ議会向けに、進展を「演出」したともとれます。
パネッタ米国防長官は、「沖縄県民の説得に関しては、日本政府に委ねます」と突き放していますので、日本国内の事情はきちんと把握しながら、あくまでも国と国、国家間の約束事というスタンス(そりゃそうですよね)。
「真の進捗を日本の行動を通してはっきり見ることができる」
と、日本を評価して見せ、
「予算の厳しい状況下でも、米国のアジア太平洋地域への関与は強化していく」
と、米軍の沖縄駐留の必要性を強調し、
「米政府も移設を進展させる責任を遂行し、(沖縄の)負担軽減を約束する」
と、述べ、
「中国が国際的な規範と行動のルールを守るよう日米がともに促していきたい」
と、海洋進出を強める中国をけん制し、
今回の日米防衛相会談を、『同盟深化』をアピールする場としたパネッタ米国防長官。
言葉って、武器ですね。