アメリカ上院は、12月21日の本会議において、在沖縄海兵隊のグアム移転関連費(アンダーソン飛行場の駐機施設整備費)全額2600万ドル(約22億円)を盛り込んだ、2013会計年度(2012年10月〜2013年9月)国防権限法案を可決しました。
法案では、すでに2009年から日本政府が拠出しながらも凍結されていた、約8億3千万ドル(約700億円)のうち、設計費部分の執行も認められました。
上院が方針変更して移転費の復活を認めた理由のひとつは、東アジア地域で海洋活動を活発化させている中国人民解放軍を牽制するとともに、そのために海兵隊のグアム移転を促すことが不可欠だと判断したからで、アジア太平洋に重点を置く、オバマ政権の新国防戦略の遂行を後押しする狙いもあると思われます。
国防権限法には、沖縄県の尖閣諸島について、米国による日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることを明記した、「尖閣条項」も盛り込まれました。アメリカ政府が、第5条に基づく米軍の投入を決めた場合、議会としてもこれを支持することを、初めて公文書で明確にしたことになります。
下院は、上院との協議で法案を一本化した後、前日の20日に可決しています。これにより、法案はオバマ大統領に送付され、オバマ氏が署名すれば成立します。グアム移転関連費の復活は2年ぶり。停滞していた同事業が一歩前進する形となります。
しかしながら、グアンタナモ収容所のテロリスト容疑者の移送問題などで、政権側が同意していない条文が19条項あり、現時点では、大統領が署名を拒否する可能性もあるとされています。
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